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2009/02/15

OEM

業界の話。

船舶などに使用される断熱材はロックウールという鉱物系繊維を使用する(昨今問題となっているアスベストとは違う)。
現在、船舶で使用するための基準、つまり認定番号を取得しているメーカーはニットウボウ(日東紡)とニチアス(アスベスト問題や、国土交通省認定違反で新聞などを賑わしたメーカー)だが、日東紡からOEMを受けているメーカー(ニットウボウは製造のみで認定はそのメーカーが取得している)もある。

ところが、突然だがニットウボウが3月を目処に製造を全面的に中止すると発表した。
それに伴い、OEMを受けていたメーカーは競合メーカーであるニチアスから購入するか、販売を中止するかという選択肢の中で大変な状況であるという。
もちろん、船舶関係の場合、製造メーカーが変わるとなると認定試験をもう一度受けなければならず、今後どうなるかどうするか関係他社が注目をしているところだ。

その昔、大阪梅田の地下街で火災が発生し、建築物の一部が熱的な性能が満たされていないため被害が拡大したことがある。
当時、その製品や機器などに対し、性能を裏付ける基準や試験などが無く、欧米での使用実績が永いと言うことでそのまま国内に導入された材料を使用していた。

しかし、建設国会でも取りざたされ認定基準作りが始まり、私もメーカーの代表として2年間22回に渡る技術小委員会に参加し、国の仕様書作りに貢献させてもらった。
その結果、平成に入り複数社が自由に認定試験を受けることが出来る基準が完成し、もちろん我が社も受験し、現在もその製品の販売メーカーである。

試験はおおざっぱに材料試験と性能試験からなっているが、中には材料のみ試験にて合格し、その素材のみを販売をするメーカーもあった。
そして、そう言うメーカーから合格材料を購入し、最終製品に仕上げて認定試験を受け、認定番号を取得するメーカーと、材料から最終製品まで一括で認定を取得するメーカーが存在することとなり、我が社は後者に入る。

材料と製品とに分けた場合単純に試験費用が半分になる。
しかし、材料メーカーの社名などを製品の表面にしっかり分かるように刻印ないし印刷を施すという義務を課せられ、金額よりも会社の名誉のためにも他社の材料を使う気持ちがなかったのと、そもそも宣伝活動を行う上で、自社以外の名前を表立ちさせる気など無かった。
材料の素材は我が社では製造できないが、私の作ったスペック通りならば、複数のメーカーにて製造することは許可されていたので、素材メーカーの担当社は少しでもその使用量配分を多くしてほしいと日参してきたが、2社あれば半分、3社あれば1/3ずつと公平に発注していたのを今でも覚えている。

昨日、我が社の競合メーカーの担当から電話があった。
該当する製品の材料を分けてもらいたいと。

そこの会社は、開発費コストを抑えるため、前者の方法をとって販売していた。
ところが、元の素材メーカーが数年前に別の会社に事業所と工場ごと身売りする事件があった。
認定基準や素材の管理はそのまま受け継がれたらしく問題は発生しなかったが、今回その素材メーカーから採算が合わないから材料そのものの製造を中止するという連絡があったらしい。
大手素材メーカーらしく問答無用だという。

そこで、我が社の材料を求めてきたというわけだ。
しかし、材料構成が全く違うのでその会社の認定品ということでの販売は出来ない。
現在の法令では、以前のように工場指定が無く、認定取得メーカーが管理を行うという名目で他社工場にて製造することに問題はない。
また、認定品であることが分かる表記も不要となっている(これは消防庁の方から表示を依頼されることが多いので自主表記を行うよう業界にて取り決めている)が、認定番号は我が社で、併記する会社名はその会社でも法令上問題がないので、ライセンスの使用許可を書面で交わすと言うことで話が終わった。

今回の件は、以上の事柄で法令的にも市場流通上も問題がないが、ニットウボウの件は大変なことだと思う。
だが、このように業界景気が不安定な状態が長引けば、会社の合併などの再編成が加速し、同じことが起こる可能性が高く、ましてや素材供給会社が倒産などした日にはどうしようもない。

私は、常に10年先を案件として製品の開発を行っている。
同時に、多くの要因による供給ラインの停止を考慮することもその中に含めている。
地震災害を想定すれば、同じものを10km以上離れた複数工場で製造するくらいの器量は必要になる。
だが、特殊材料などの素材は、単一メーカーに頼らざる終えなく、常に危険にさらされているわけで頭が痛い。

明日は、我が身と競合メーカーであっても手を差し伸べていかなければならないとつくずく感じた日だった。

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